住宅にとって何よりも大切なことは、その建物がそこで暮す人たちの「安全」を守ることです。安全を守るとは、単に災害などの外的要因からだけでなく、化学アレルギーなどの建物の素材などの問題も含まれます。あらゆる災害・被害から可能な限り家族を守れるような「安全」を設計すること、これが建築士としての最も基本的な責任です。
しかし、それだけでは充分ではありません。安全と共に次に求められるのは「心地よさ」です。人は、これから建てようとする家に多くの願いや夢を込めます。たとえば、建った家の中で過ごす家族の安らぐ姿を想い描きながら。そのような安らぎは、いわば空間の心地よさによって生まれるものです。
建てる人の願いや夢を汲み入れつつ、優れた安全性を有するような家であってこそ真に家族を守れる良い住宅といえます。だから、安全性と心地よさの融合、これが建築士としての手腕です。
家は家族を守る守護者でなければなりません。
1966年千葉県生まれ。
武蔵工業大学建築学科を卒業し、建設会社を経て設計事務所開設。アレルギー物質を抑えた住宅、太陽熱を利用したパッシブソーラー住宅、共同住宅、事務所ビル、工場、店舗等を手掛ける。